上石神井駅から徒歩5分の歯医者さん、大塚歯科です。
今回のテーマは「インプラントと健康保険適用の有無」です。
インプラントは人工の歯の根を埋め込むことで天然の歯に近い安定性を再現できます。
さらに見た目も美しく、それらの点で入れ歯に比べて遥かに魅力的な治療方法と言えるでしょう。
そんなインプラントの欠点となるのが費用の高さです。
さてここではインプラントの費用をテーマにして、健康保険の有無についての説明をしていきます。
インプラントでは基本的に健康保険は適用されません。
そもそも健康保険は全ての歯科治療に適用されるわけでないのです。
ホワイトニング、セラミック治療、歯列矯正…これらの治療でも健康保険は適用されません。
ではなぜ健康保険が適用されないのかと言うと理由は簡単で、
インプラントは健康保険適用の基準を満たしていないからです。
そこで健康保険適用の基準を簡単に説明します。
「健康を目的とした必要最低限の治療」…これが健康保険適用の基準です。この基準に注目すると、
健康とは無関係で完全に審美目的なホワイトニングに健康保険が適用されないことに納得できると思います。
ではインプラントの場合はどうでしょうか?
インプラントは失った歯への対処となる治療ですから、「健康目的の治療」の基準は満たしています。
しかし入れ歯という治療方法がある以上、「必要最低限の治療」の基準を満たしていないのです。
つまり健康目的とは言え、最低限以上の治療となるため健康保険が適用されないのです。
上記で「インプラントは基本的に健康保険が適用されない」と説明しましたが、
「基本的に」と表現したとおり実は例外的に健康保険が適用されるケースもあります。
最も、以前までは例外なく健康保険は適用されず、これは平成24年の4月以降に改定されたことです。
インプラントで健康保険が適用されるケースは生まれつきの病気や顎骨の欠損など、
状態的に入れ歯が不可能でインプラントが「健康目的で最低限の治療」と判断された場合に限られます。
ただしその基準は非常に厳しくなっており、患者だけでなく歯科医院側にも基準が定められています。
<患者に対する基準>
・医科の保険医療機関の主治医により生まれつきの病気と診断され、
顎骨の1/3以上が連続して欠損している
・腫瘍や顎骨骨髄炎などの病気、もしくは事故によって顎骨の1/3以上を失った場合
・顎の骨の形成不全であること
…このように、生まれつきの病気や事故が原因で顎骨が欠損した場合に限られる上、
顎骨が欠損している範囲まで基準が定められています。
<歯科医院に対する基準>
・病院(入院用のベッドが20床以上ある施設)になる歯科、もしくは口腔外科である
・下記のいずれかに該当する歯科医師が、常勤で2名以上配置されている
「その病院の歯科、または口腔外科で5年以上の治療経験を持つ」
「インプラント義歯の治療経験を3年以上持つ」
・当直体制、国が定めている医療機器、医薬品などの管理が整備されている
…注目すべき点は1つ目の基準の「入院用のベッドが20床以上ある」の箇所です。
この点から分かるとおり、インプラントで健康保険を適用するには規模の大きな歯科医院での治療が必要で、
町医者と呼ばれる規模の歯科医院では健康保険が適用されないことになります。
これらの基準を自身で判断するのは難しいため、
自分がインプラントで健康保険が適用されるか知りたい人は歯科医院で相談するといいでしょう。
インプラントと健康保険適用の有無について各歯科医院のWEBサイトで調べると、
中には「健康保険は適用されない」と説明している歯科医院もあります。
しかしここでは「例外的に健康保険が適用されるケースがある」と説明しているため、
情報収集する側としてはどちらが正しいのか分からなくなってしまうと思います。
これについて説明すると、まず正しいのは「例外的に健康保険が適用されるケースがある」です。
ではなぜ「健康保険は適用されない」と断言している歯科医院があるのか?
それには以下の2つの理由が考えられます。
・その情報が平成24年4月以前に書かれたものである
平成24年4月以前はインプラントでは例外なく健康保険は適用されませんでした。
この時期で書かれた情報が更新されずそのまま掲載されてしまっている可能性があります。
・「当院では健康保険は適用されない」という意味である
上記で説明したとおり、インプラントで健康保険を適用するには歯科医院側にも基準が定められています。
このため、「当院では健康保険が適用されない」という意味で説明されている可能性があります。
いかがでしたか?
最後に、インプラントと健康保険適用の有無についてまとめます。
1. 基本的に健康保険は適用されない :健康保険適用の基準を満たしていないため
2. 健康保険が適用されるケース :平成24年4月以降、改定により健康保険が適用されるケースもある
3. 情報の錯乱に注意 :情報を掲載した時期などによっては、間違った情報が載っていることがある
これら3つのことから、インプラントと健康保険適用の有無について分かります。
例外的なケースではありますが、インプラントでも健康保険が適用されるケースがあります。
最も、今後も改定により現状の基準が変更される可能性もあるため、
今回説明したことは「平成30年2月時点での情報」と捉えておいてください。