患者 | 50代女性 |
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相談内容 | 「右下の歯が折れたので診てほしい」とご相談いただきました。 |
カウンセリング | レントゲンを撮影して詳しく確認したところ、右下奥歯(第2小臼歯)の歯根が割れており、しっかり噛める状態ではありませんでした。抜歯せずに治療を行った場合、支障なく噛めるようになるまで回復させるのは難しいと考えられます。 また左上奥歯(第1小臼歯)には、歯根の先に炎症が起きて膿が溜まる「根尖(こんせん)病巣」が認められました。 さらに、歯が生えるスペースが不足しているため、前歯部分がやや突出している印象です。 2本の歯をこのまま放置すると、十分に噛むことができないだけでなく、割れた歯根に細菌が溜まって炎症を引き起こしたり、炎症が周囲の歯に悪影響を与えて顎の骨が溶けたりするリスクがあります。 |
治療内容 | 右下奥歯と左上奥歯は温存が難しく抜く必要があるため、抜歯後の隙間を補う方法として、以下4つの治療方法を提案しました。
①隣り合う歯を削り、橋渡しのような被せ物で歯を補う「ブリッジ治療」 ②顎の骨に人工歯根を埋め込み、その上に人工歯を装着する「インプラント治療」 ③取り外し式の「入れ歯」 この3つは一般的な抜歯後の隙間を補う方法ですが、これらの方法では歯並びを整えることはできません。そのため、今回は抜歯で空いたスペースを埋め、さらに歯並びも改善できる矯正治療を併せて提案しました。 ④矯正治療 それぞれのメリットとデメリットを丁寧にお伝えしたところ、患者様は④の矯正治療で抜歯後のスペースを埋める治療方法を希望されました。また、矯正治療を行うにあたって以下の治療内容も併せてお伝えし、同意いただいています。 ・歯を正しい位置に移動させるスペースを作るために、左右上の奥歯(第1小臼歯)2本と、左右下の奥歯(第2小臼歯)2本を抜く まずは、歯根が割れている右下奥歯1本、根尖病巣になっている左上奥歯1本、矯正治療を行う上で抜く必要がある左右上下の奥歯4本、計6本の抜歯を行います。 次に、上下の歯の表側にブラケットを接着し、ワイヤーによる矯正治療を開始しました。 最後に、矯正後の歯並びが元に戻る「後戻り」が起きないよう、上下前歯の裏側に保定装置「ワイヤーリテーナー」を接着して、治療を終了しています。 |
治療期間 | 2年3ヶ月 |
費用 | 約970,000円 (矯正・インプラントアンカー・リテーナー上下) |
治療のリスクについて | ・治療中、発音しにくい場合があります ・治療中、舌が動かしにくいことがあります ・治療中、装置によってまれに頬の内側が傷つき、口内炎になる場合があります ・冷たいものを飲んだときに歯がしみる「知覚過敏」の症状が出る場合があります ・外科処置後に腫れ、出血が生じる場合があります ・外科処置後に痛みが長引く場合があります。必要に応じ痛み止めを併用します |