上石神井駅から徒歩5分の歯医者さん、大塚歯科です。
今回のテーマは「歯周病と虫歯の違い」です。
口の中の代表的な病気…それは歯周病と虫歯です。
歯周病は日本人が歯を失う原因として最も多い病気ですし、
虫歯は子供から大人まで悩まされる辛い病気です。
ここでは、そんな歯周病と虫歯の違いについて説明していきます。
発症の要因…つまり歯周病や虫歯が起こる要因ですが、これは同じだと思っている人もいますが違います。
最も、どちらもプラークの中に潜む細菌が要因になる点は同じですが、細菌の種類は全くの別物です。
歯周病の場合は歯周病菌に感染することで起こりますが、歯周病菌にはいくつかの種類があります。
中には女性ホルモンをエネルギー源として活動する歯周病菌もあり、
「男性よりも女性の方が歯周病になりやすい」というのはこのことが理由になっています。
一方虫歯は主にミュータンス菌と呼ばれる細菌が要因で、
こうした虫歯菌の出す酸によって歯が溶かされることで虫歯になります。
このように歯周病と虫歯の原因菌はどちらもプラークの中に存在しているものの、
発症の要因となる細菌の種類は異なります。
このため、歯周病と虫歯が同時に発症するとは限らず、どちらか一方だけなってしまうこともあるのです。
歯周病と虫歯はどちらも口の中の病気ですが、起こる症状は異なります。
歯周病は文字どおり口の中の病気…すなわち歯肉の病気です。
発症すると歯肉が炎症を起こし、その影響で歯肉が変色したり腫れたりします。
やがて進行すると歯槽骨が溶かされていきますが、この歯槽骨は歯を支えている顎の骨です。
つまり歯槽骨が溶かされると歯は支えを失うことになり、グラついて抜けてしまいます。
一方虫歯は歯の病気で、虫歯菌の出す酸によって歯が溶かされることで起こります。
症状としては歯に穴があけられ、進行することでその穴はどんどん深くなっていきます。
象牙質、神経…穴が深くなることでこれらの箇所に到達し、それに伴って激しい痛みを感じます。
そして、最終的には歯がボロボロになってしまいます。
このように歯周病と虫歯では起こる症状が全く異なりますが、「最終的に歯を失う」という点は同じです。
歯周病は歯肉の病気で虫歯は歯の病気…発症する箇所が異なる以上、当然治療方法も異なります。
歯周病の治療方法の基本は「歯石の除去」と「プラークコントロール」の2つです。
前者は歯に付着した歯石はもちろん、歯周病によって溝が深まった歯周ポケット内の歯石も除去します。
ちなみに歯石はプラークが石灰化したもので、歯石があると歯周病の悪化を招きます。
次にプラークコントロールですが、これは患者さん自身が効率良くプラークを除去することです。
メインは歯磨きですが、ただ磨くだけでなくデンタルフロスなどを使用した精密な歯磨きが求められます。
一方虫歯の治療方法の基本は「歯を削って詰め物を入れる」です。
虫歯が進行するほど削る範囲は広く、そして深くなります。
最も、どちらの治療方法もあくまで基本であり、進行度によってはそれ以上の治療を行います。
歯周病の場合は歯肉を切開するフラップ手術、虫歯の場合は根管治療、
さらにどちらも末期段階まで進行してしまえば抜歯することもあります。
自覚症状とは病気になっている時に感じる症状です。
つまり自分が歯周病や虫歯であることに気付くきっかけとなる、その意味では大切な症状です。
歯周病の場合は歯肉の腫れや変色、さらにささいな刺激で歯肉から出血するようになります。
また中期段階になると歯肉が退出するため、その影響で歯肉が下がって歯が長くなったように見えますし、
一定以上歯槽骨が溶かされてしまうと歯がグラつく、歯に触れると動くなどの自覚症状があります。
一方虫歯の場合は「痛み」という分かりやすい自覚症状があります。
正確には虫歯が象牙質まで進行することで痛みを感じるため、
実は完全な初期段階の虫歯においては痛みの自覚症状はありません。
これらを比較すると分かるとおり、自覚症状として分かりやすいのは痛みを感じる虫歯です。
歯周病は目立った自覚症状がないことから気付きにくく、「静かに進行する病気」と表現されています。
いかがでしたか?
最後に、歯周病と虫歯の違いについてまとめます。
1. 発症の要因の違い :どちらも細菌の感染によって起こるが、要因となる細菌は全くの別物
2. 症状の違い :歯周病は歯肉が炎症を起こして歯槽骨が溶かされ、虫歯は歯が酸に溶かされて穴があく
3. 治療方法の違い :歯周病は歯石の除去とプラークコントロール、虫歯は患部を削るのが基本
4. 自覚症状 :歯周病は歯肉の変色や歯肉からの出血、進行すれば歯のグラつきなど。虫歯は痛みを感じる
これら4つのことから、歯周病と虫歯の違いが分かります。
それぞれ全く別の病気ですが、怖さを対象にこれらを比較することはできません。
歯周病は痛みを感じないので軽視する人もいますが、最終的に歯を失う怖い病気です。
虫歯も辛い痛みを感じる点で辛いですし、やはり最終的に歯を失います。
つまり、歯を守るためにはどちらも予防と早期治療を心掛けなければなりません。