上石神井駅から徒歩5分の歯医者さん、大塚歯科です。
今回のテーマは「歯周病の痛みや症状」です。
日本人の成人のおよそ7割が歯周病と言われています。
このため、これを読んでいるあなたが歯周病である可能性は充分にありますが、
「歯周病になったら自分で気づくはず」と考えてしまう人が多いでしょう。
しかし実際には自覚しにくいのが歯周病の特徴で、そのため歯周病は「静かなる病気」とも表現されています。
歯周病にはほとんど痛みがなく、これが静かなる病気と表現されている理由です。
例えば虫歯になると痛みを感じるため、みなさんはその痛みによって虫歯を自覚します。
歯の痛みは嫌なものですが、痛みは自分が病気であることに気づくきっかけとなる大切な自覚症状です。
しかし歯周病には痛みはなく、痛みがなければ歯周病だと自覚できません。
歯周病だと自覚できなければ治療を受けようとも考えず、むしろ歯が健康な状態だと思ってしまうでしょう。
そうなると知らない間に歯周病はどんどん進行する…つまり静かに進行していくのです。
いくら静かなる病気である歯周病も、症状が全くないわけではありません。
確かに見た目や感覚で分からない症状もありますが、一方で「見て分かる、感じる」症状もあるのです。
実際に歯周病になると以下のような症状が起こります。
歯と歯肉の境目には歯周ポケットと呼ばれる溝がありますが、歯周病になるとこの溝が深くなります。
さらに、歯周病が進行するに比例して歯周ポケットの溝はより深くなり、
その深さを基準に歯周病の進行度は初期段階、中期段階、重度段階の3段階に分けられます。
歯周病になるとまず歯肉が炎症を起こします。この時痛みはないものの、歯肉の見た目に変化が起こります。
歯肉が赤みを帯びて腫れた状態になりますし、触ると引き締まりがなくプヨプヨした感触です。
また炎症を起こした歯肉は少しの刺激で出血するため、食事や歯磨きの際に出血しやすくなります。
歯周病が進行すると歯槽骨が溶かされていきます。
歯槽骨とは上下の顎骨で、役割としては歯を支えている大切な骨なのです。
つまり歯槽骨が溶かされることは歯が支えを失うことであり、歯は不安定になってグラつくようになります。
歯周病が進行して歯槽骨が溶かされることで歯はグラつくようになりますが、
治療しなければ歯槽骨はさらに溶かされ、やがて歯は完全に支えを失ってしまいます。
そうなれば歯は抜け落ちてしまい、これが歯周病で歯を失う理由です。
虫歯の痛みのような明確さはないとは言え、歯周病にも自覚症状があります。
「歯肉が炎症を起こし、歯槽骨が溶かされて歯が抜け落ちる」が歯周病の症状ですが、
この症状が起こることによっていくつかの自覚症状も起こります。
歯周病になると歯肉に炎症が起こり、その影響で歯肉から膿みが出たり出血したりするようになります。
さらに歯周ポケットの溝に細菌が繁殖するため、これらが原因で口臭が起こります。
口臭の原因は様々ですが、歯周病の場合は特にキツイ口臭がすると言われています。
歯肉が炎症を起こすことで、歯周病になると歯肉から出血しやすくなります。
これは歯周病菌と戦うため、患部に血液が集中するのが理由です。
歯磨きや食事の時に歯肉からの出血が目立つ場合、歯周病を疑った方が良いでしょう。
歯槽骨が溶かされると歯肉が退縮するため、歯肉が下がってしまいます。
そうなると本来歯肉に覆われているはずの歯の根元が露出するため、一見歯が長くなったように見えます。
露出した歯の根はエナメル質がなく象牙質が剥き出しのため、冷たさや熱さを感じるとしみてしまいます。
歯周病の自覚症状の中で最も分かりやすいものの、この自覚症状で歯周病に気づくようでは遅すぎます。
歯がグラつくということは歯槽骨がある程度溶かされているということですから、
歯周病が中期段階以降まで進行してしまっているのです。
いかがでしたか?
最後に、歯周病の痛みや症状についてまとめます。
1. 歯周病の痛み :痛みがほとんどないため歯周病は自覚しにくく、静かなる病気とも表現されている
2. 歯周病の症状 :歯周ポケットの溝が深くなる、歯肉が炎症を起こす、歯槽骨が溶かされる、歯が抜け落ちる
3. 歯周病の自覚症状 :口臭がする、歯肉から出血する、歯が長くなって見える、歯がグラつく
これら3つのことから、歯周病の痛みや症状について分かります。
特に知っておいてほしいのは「歯周病は痛みがない」と「歯周病が進行すると歯を失う」の2つです。
痛みがないということは、歯が全く痛くない人でも健康とは限らないと言えます。
そして進行すると歯を失うということは、例え痛みがなくても歯周病は怖い病気だと言えるのです。