上石神井駅から徒歩5分の歯医者さん、大塚歯科です。
今回のテーマは「インプラント周囲炎について」です。
インプラントは第2の永久歯とも呼ばれますが、もちろん天然の歯ではありません。
上部構造…すなわち人工の歯となる被せ物を人工の歯の根と連結することで安定させ、
天然の歯に近い感覚や見た目の美しさを再現したのがインプラントです。
つまりインプラントは人工物なのですが、そんなインプラントが歯周病になることをご存知でしょうか。
人工物であるインプラントが歯周病になることを不思議に思うでしょうが、
そもそも歯周病は歯の病気ではなく歯肉の病気です。
このため、天然の歯であろうと人工の歯であろうと、それを支える歯肉が病気になることはあり得ます。
さて、インプラントの歯周病を正確には「インプラント周囲炎」と呼びます。
歯肉の病気なので一見インプラントは無関係に思えますが、
実際にはそうではなく、インプラント周囲炎が原因でインプラントが脱落することもあるのです。
インプラント周囲炎の症状としてはインプラントの周囲に炎症が起こり、
さらにはインプラントを支える顎の骨にも炎症が起こります。
その影響で歯肉の腫れ、出血、退縮なども起こり、インプラントと歯肉の境目の溝も深くなります。
つまり、インプラント自体ではなくそれを支える歯肉に症状が起こります。
また、これらの症状は歯周病でも起こるため、
「インプラント周囲炎=インプラントの歯周病」と捉えれば良いでしょう。
インプラント周囲炎と歯周病を比較した時、大きな違いとなるのが進行の早さです。
インプラント周囲炎も歯周病も進行する病気ですが、
その早さは前者…つまりインプラント周囲炎の方が早く、そのため重症化しやすい傾向があります。
ではなぜインプラント周囲炎は進行が早いのか?…それはインプラントが人工物だからです。
天然の歯と違い、人工物であるインプラントの周囲の組織は栄養血管が少なくなっています。
このため炎症に対する抵抗力が弱くなっており、進行を早めてしまうのです。
インプラント周囲炎を引き起こすのは歯周病菌です。
ですから歯周病の場合と同様にプラークの蓄積による歯周病菌の増殖、
それによって歯周病菌に感染することでインプラント周囲炎が起こります。
プラークの蓄積の根本となる原因はケアが不充分であることで、
プラークコントロールができていないためにプラークが口の中で停滞してしまっているのです。
また、噛み合わせの悪さや喫煙が原因でインプラント周囲炎が起こるケースもあります。
インプラント周囲炎の予防方法は歯周病の予防方法と全く同じです。
プラークを効率良く除去する歯磨き、生活習慣を改善して身体の免疫力を高めるなどが挙げられ、
予防方法自体はそれほど難しいものではありません。
そして、インプラント周囲炎を予防する上で重要なのがメンテナンスです。
メンテナンスでは噛み合わせの調整、インプラントの清掃、
インプラントに異常がないかを確認するためのレントゲン撮影などを行います。
インプラント周囲炎を予防する上で欠かせないのがメンテナンスです。
上記で説明したとおり、メンテナンスではインプラントの清掃などを行いますし、
プラークコントロールの効果を高めるためのブラッシング指導も行います。
これらによって予防効果が高まりますし、さらにインプラント周囲炎を早期発見することが可能です。
インプラント周囲炎は自覚症状がほとんどなく、その上進行しやすい厄介な病気です。
気づいた時には重症化しているケースが多く、メンテナンスにはそのような事態を防ぐ目的もあります。
いかがでしたか?
最後に、インプラント周囲炎についてまとめます。
1. インプラント周囲炎 :インプラントの歯周病。進行することでインプラントが脱落する
2. インプラント周囲炎の症状 :インプラントの周囲、インプラントを支える顎の骨に炎症が起こる
3. インプラント周囲炎は進行が早い :インプラントの周囲は炎症に対する抵抗力が弱いため進行が早い
4. インプラント周囲炎の原因 :ケアが不充分なことによるプラークの蓄積、喫煙、噛み合わせの悪さ
5. インプラント周囲炎の予防方法 :歯周病の予防方法と同じ。特に重要なのがメンテナンス
6. メンテナンスの重要性 :予防だけでなくインプラント周囲炎を早期発見できる
これら6つのことから、インプラント周囲炎について分かります。
人工物であるインプラントは病気と無縁に思えますが、それを支える歯肉の場合は別です。
インプラント周囲炎になるとインプラントを支える歯肉に炎症が起こり、それがインプラントにも影響します。
具体的には、インプラント周囲炎が進行することでインプラントが脱落してしまうのです。
このため、インプラントにしたからと言ってケアを怠って良いわけではなく、
天然の歯同様に毎日丁寧にケアしなければなりません。