上石神井駅から徒歩5分の歯医者さん、大塚歯科です。
今回のテーマは「歯周病治療における手術」です。歯周病の治療と言えば、みなさんはどんな治療方法を想像するでしょうか。
改めて考えてみると、歯周病の治療は虫歯の治療に比べて知っている方が少ないと思います。さて、そんな歯周病の治療において手術が必要になるのか?…それは本当です。最も、必ずしも手術を行うわけではなく、必要か不要かは歯周病の進行度で決まります。
どんな状態であれ、歯周病治療の基本は口の中を清潔にすることです。細菌や歯石を除去して悪さをしている歯周病菌を駆除する…それが治療の基本です。ではどうやって細菌や歯石を除去するのか?…それは歯周病の進行度によって異なります。
例えば初期段階の歯周病であれば、スケーリングで歯に付着した歯石を除去して、なおかつ患者さん自身が的確なプラークコントロールを行うことで治せます。しかし歯周病が進行した場合、進行度によってはそのような方法で治療できなくなります。
歯周ポケットとは歯と歯肉の境目にできる溝であり、歯周病になるとこれが深くなります。そして、歯周ポケットができるとそこに細菌や歯石が入り込んで溜まってしまいますが、初期段階の歯周病の場合、溝はそれほど深くなく、上記で説明した従来の方法で細菌や歯石を除去できます。
しかし歯周病が進行すると歯周ポケットの溝はさらに深くなり、一定以上の深さになると従来の方法…つまりスケーリングでは細菌や歯石を除去できなくなるのです。例えるなら、ズボンのポケットが深いと中身を取り出しにくくなるのと同じです。
歯周病が進行して歯周ポケットの溝が深くなりすぎた場合、外側からスケーリングで細菌や歯石を除去できず、そうなると必要になるのが手術です。これは歯肉を切開して、直接歯周ポケットに溜まった細菌や歯石を除去するのが目的です。
つまり歯周病治療における手術とはフラップ手術のことであり、歯周ポケットに溜まった細菌や歯石を外側から除去できない場合に行います。中期段階~重度段階の歯周病において必要になることがあります。
フラップ手術は歯周病治療において必要になることがある手術ですが、それ以外にも患者さんの要望によっては別の手術が必要になることもあります。ただしそれは歯周病治療において必須というわけではなく、あくまで患者さんの要望次第です。
いわゆる骨の再生療法と呼ばれるもので、歯周病によって溶かされた歯槽骨の再生を促す治療方法です。いずれも治療の過程で歯肉を切開するため手術が必要になります。最も、完全に元どおり再生できるわけではなく、対応できる症例にも限りがあります。
歯周病で歯を失った場合、その対処としてインプラントを希望した場合は手術が必要です。これは、インプラントでは人工の歯の根を顎の骨に埋めこむためで、そのために手術を行います。手術が1回で終わる1回法、もしくは2回に分けて行う2回法、これら2つの治療方法があります。
歯周病治療において手術が必要になる可能性があると聞くと、治療が怖く思える方もいるでしょう。しかし必要になるのは歯周病が進行している場合ですから、方法次第では確実に手術を行わずに治療が可能であり、そのためには次の2つのことを実践しましょう。
早い段階で歯周病を発見して治療すれば、手術しなくても簡単な治療で治せます。最も、歯周病は自覚症状が少ないため、早期発見することが難しいのが問題です。そのためには定期的に検診を受け、口の中の健康状態を歯科医に診てもらうことです。
当然のことですが、そもそも歯周病を予防していれば治療そのものが必要なくなります。そのためには精度の高い歯磨き、食生活を含めた生活習慣の改善、定期検診の受診などが効果的です。これら3つを全て実践していれば大抵の歯周病は予防できますし、歯周病の早期発見と早期治療も可能です。
いかがでしたか?
最後に、歯周病治療における手術についてまとめます。
1. 歯周病治療の基本 :細菌や歯石を除去することで、従来はスケーリングによってこれを行う
2. 歯周ポケット :歯と歯肉の境目の溝。歯周病の進行によってこの溝が深くなると手術が必要になる
3. フラップ手術 :歯肉を切開して、歯周ポケットに溜まった細菌や歯石を除去するのが目的
4. 歯周病治療に関連した手術 :GTR法やエムドゲイン法、インプラントなど
5. 歯周病治療で手術しないためには :歯周病を早期治療する、歯周病を予防する
これら5つのことから、歯周病治療における手術について分かります。まとめると、歯周病治療において手術が必須というわけではないものの、歯周病の進行度によっては歯肉を切開するフラップ手術を行うことがあります。また、「歯周病で溶かされた歯槽骨を再生させたい」、「歯周病で歯を失ったためインプラントにしたい」、患者さんからこうした要望があった場合もそれぞれの治療の過程で手術が必要です。