患者 | 70代男性 |
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相談内容 | 「上の前歯のブリッジが折れてしまった。前に治療した右下のインプラントもグラグラしていて、噛むところがない。しっかり治したい」とご相談いただきました。 |
カウンセリング | 拝見したところ、上顎の前歯4本(右中切歯/1番、右側切歯/2番、左右犬歯/3番)は、橋を渡すように入っていた「ブリッジ」の土台であった歯が折れ根だけになっており、残すことができない状態でした。
また、右下の奥歯2本(第2小臼歯/5番、第2大臼歯/7番)に入っている人工歯根「インプラント」は、インプラント周りの歯ぐきや骨が細菌感染により炎症を起こす「インプラント周囲炎」の影響を受けグラグラと揺れ、しっかり噛むことができない状態だったためこちらも残すことができません。 さらに左右下顎の奥歯部分も、細菌感染により歯の周りの歯ぐきや歯を支える骨が溶けてしまう「歯周病」が生じており、レントゲンで確認したところかなり骨が少なくなっていました。 残念ながら、お口の中は重度の歯周病により残せる歯が少なく、このまま放置すると食べ物の消化吸収が悪くなり全身の健康に悪影響を及ぼす可能性もあったことから、しっかり噛めるようにするためにもお口全体の治療を行い噛み合わせを改善する必要があると診断しました。 |
治療内容 | 患者様には歯周病の症状である歯ぐきの腫れや出血がなくなり、お口の中の環境が改善してから歯を修復する治療を行うことを説明したうえで、残すことができない上顎の前歯4本(右上中切歯、右上側切歯、左右上犬歯)を抜き、右下第2小臼歯と第2大臼歯のインプラントを撤去してから歯周病の治療を行うことを提案し、同意いただきました。
以下の歯周病治療の流れに基づき、処置を進めました。 歯と歯ぐきの間にある溝「歯周ポケット」の深さや歯のぐらつきを測り、歯ぐきや骨の状態を検査 歯ぐきの炎症がおさまっているかを出血の有無や歯周ポケットの深さで評価したところ改善していました。 治療を行う中で歯のない期間ができることから、噛み合わせを保つために一時的に義歯が必要であることを患者様にお伝えし、こちらにも了承いただいたため義歯を作製して装着しています。 また、抜歯後の治療方法として以下の2つを提案しました。 ①取り外し式の入れ歯を装着する方法 インプラントを顎の骨に埋め込む際、十分な骨の高さや厚みが必要ですが、加齢や歯周病によって顎の骨が不足していることがあります。 以上の説明から、患者様は固定式で自分の歯のように自然に噛みたいとのことで②の治療方法を選択されました。 最終的な修復計画に基づいて、左右下顎の奥歯部分の骨造成術を行い、骨の量が回復するのを待ってからインプラントを埋入し骨に定着したことを確認したあと、上顎前歯と下顎奥歯にセラミックブリッジを装着しました。 下顎の前歯6本(左右中切歯、左右側切歯、左右犬歯)は歯周病治療の結果、歯ぐきの炎症も収まりぐらつきも軽減し、歯を残すことができる状態にまで回復しました。丁寧に型取りを行ったあとセラミックの被せ物で見た目を整え、治療を終了しています。 |
治療期間 | 約1年6ヶ月 |
費用 | インプラント1本 500,000円 セミッククラウン1本 130,000円 骨造成術1ブロック 100,000円 |
治療後 | インプラント治療した部位の痛みや腫れもなく、お口の中がきれいに蘇りました。
患者様は「食べ物を噛むことに不安がなくなった。しっかり噛めるようになって人生が変わった」と大変感動されていました。 現在はメンテナンスのため定期的に通院いただき、良好な状態を保っています。 |
治療のリスクについて | ・外科処置後に腫れ、出血が続く場合があります ・メンテナンスを怠ったり、喫煙したりすると、お口の中に大きな悪影響を及ぼし、インプラント周囲炎などにかかる可能性があります ・糖尿病、肝硬変、心臓病などの持病をお持ちの場合、インプラント治療ができない可能性があります ・治療が終わった後も、十分なセルフケアが必要です ・自費診療(保険適用外治療)です ・硬い素材の場合、他の天然歯を傷つけることがあります |
クリニックより | 当院は崩壊した口腔内を再建し、噛み合わせを根本的に治す「咬合再構成」を得意としています。 その場限りでなく永続性をもった治療を提供しております。 噛み合わせでお悩みの方は、ぜひ当院にご相談ください。 |